強盗は、ユカを羽交い締めにしながら俺を見る。
「おい小僧。お前も俺の邪魔をするんじゃねーぞ。
この、お前の彼女が俺に連れ去られるのを黙って見てることだなぁ!
ヒャーハハハ!」
すると店員は
「すまない、彼氏くん…!なかなか君の彼女を助けることができなくて…!
まぁ、予定では、君の彼女が俺の彼女になる予定ではあるんだけど…!
その点でも、本当にすまないと思っている…!」
誰が彼氏やねん。
そんな狂暴な武士系女、こっちから願い下げだっつーの。
俺はコンビニの出口に向かって歩き出す。
「俺、帰るから。
ユカ、後はよろしく~」
するとユカは、羽交い締めにされながらも身を乗り出そうとする。
「ちょっ…待って!」
すると強盗が
「おい動くんじゃねーよ!大人しく人質になっ…」
そう言いかけた瞬間。
ユカは両手で、強盗が自分を押さえ付けているほうの腕を上下から素早く掴んだ。
そして
「はっ!!!!!!!!!」
その声を発すると同時に
自らの体を勢いよく回転させたと思ったら
ダンっっ!!!!!
強盗を思いきり
床に叩きつけていた。
強盗の手からナイフが落ちた。
店員は素早く駆け寄り、ナイフを拾った。
「ありがとう!今、警察を呼んだ!」
…こうして強盗は、駆けつけた警察官たちに捕獲された。
「ほら、早くパトカーに乗れ!」
そう言う警察官たちに引きずられながら、強盗は振り返り、そしてユカに向かって叫ぶ。
「最後に…最後に、俺は、君に触れられて…密着できて…
その、つまり…
君を人質にできて、幸せだった―――――――――!!!!!!!」
なんだそりゃ。
アイツ、ただの変態なんじゃねーか。