2021-01-01から1年間の記事一覧
「部室がイカくせぇ」小柄なゴスロリ少女ミコは、俺を睨み付けながら呟く。会津部の部室は、畳部屋である。なので俺は、畳に寝そべりながら好きな本を読んでいる。昨日、コンビニで購入したスルメを噛みながら。なぜスルメなのかというと、本を読むと眠たく…
コンビニでユカが強盗に襲われたり倒したりしているうちに、空は闇夜に染まっていた。「はぁ…さっきは強盗に襲われたりして、大変だったな~」そう言うユカは、俺の横にぴたりと並んで歩く。俺は前を向いたまま「ていうか、お前はいつまで付いてくるんだよ?…
強盗は、ユカを羽交い締めにしながら俺を見る。「おい小僧。お前も俺の邪魔をするんじゃねーぞ。 この、お前の彼女が俺に連れ去られるのを黙って見てることだなぁ! ヒャーハハハ!」すると店員は「すまない、彼氏くん…!なかなか君の彼女を助けることができ…
ナイフを突きつけて金品を要求する強盗に、店員は「ふざけるなよ!お前のしてることは全部防犯カメラに写ってるんだぞ…!」すると強盗は「だったら何だよ!俺は今ここで、お前から金を奪えればそれでいいんだよ!」「それにしても、いくらナイフを持ってるか…
「ふんふーん♪」時が経ち、自宅を目指している俺の横に、なぜかユカが鼻歌混じりに付いてきている。「嬉しいなぁ、まさかユウトくんが会津部に入ってくれるなんて!」「言っとくけどなぁ、俺は無理矢理に入らされただけなんだからな!べ、別に勘違いしないで…
会津部に入部しないと心臓が締め付けられるという呪いをかけられた俺を見て、ヒロコ先生は言う。「ユウトくん。貴方は、この部活に必要な人間なのよ。お願い。どうかこの部活の部員になって…」「だから、なんで俺なんだよ!?」そう絶叫する俺に、ミコは一言…
「ざけんなよ、マジで冗談じゃねぇ…!」俺はこの部屋を出ようと、出口へ向かった。その瞬間。「あれ~?新入部員~?」タイミング悪く、そこから更に1人の女生徒が現れた。小柄で細身の、おっとりした女子だ。その女子は、巨大なメロンパンをモサモサと頬張…
「う…」気付くと、俺は畳の部屋に転がっていた。まだ頭がズキズキする。ユウト2号のヤツ、マジでぶっ破壊してやろうか。すると、頭上から聞き覚えのある声が響いてきた。「うふふ…ユウトくん、ついに来たわね~ 『この場所』に…」「!?」俺は反射的に起き上…
まぁ、人間、成長するにつれて変わる人間ぐらいいるだろう。別に珍しいことじゃないしな。俺は、ユカに一言。「助けてくれて、あんがとー。 じゃあ俺、帰る~」するとユカは「ま、待ってくれないか?ユウトくんを助けたこと、恩に着せるわけではないのだけれ…
俺は、高校生になった、変わり果てたユカを目の前にして思い出したくもない、過去の記憶を甦らせる。 ………。 「うわぁああん! ユウトくん、私また学校でいじめられたよ~!」小学生時代、近所に住む同い年の『ユカ』は、ほぼ毎日、俺の家に転がり込んで来て…
不敵に笑みを浮かべるその女子は、顔が綺麗なだけに、より一層のサディスティック感を醸し出す。不良たちは、口々に「ど、どうする…? 今日こそ、あの女を八つ裂きに!…できたらいいのになぁ~」「あの女のせいで、俺らはいつも堂々と悪さできねーんだよ!あ…
殴られる。でもって、大人数の不良たちにフルボッコにされる。もう駄目なのかなー。 ま、いいや。別にもともと、手放したくないモノなんか無いし。フルボッコにされたらそれを理由に、ハートブレイクしたフリして学校をサボりまくってやろう。「死ねや転校生…
俺の手によって口に石を突っ込まれ、顎に膝蹴りを受けて倒れたそいつに向かって、不良たちは全力で駆け寄る。「斎藤ぉおおー!!大丈夫か!しっかりしろ!」「斎藤!目を覚ませ!頼むから!」「ちくしょう…!斎藤の目、瞳孔が開いてるぞ!もう駄目なのか!?…
とある日。1日が終わったので、俺は帰宅するために学校を出る。もちろん部活などする気は無い。校門を出ようとした時に、見知らぬ生徒が立ちはだかった。その男は、俺を威嚇するような態度と声で「お前が、最近この高校に転校してきた奴だな?」「…そうだけ…
ヒロコ先生は、椅子に座りながら足を組み替える。「ところでユウトくん、あなたは入りたい部活、決まったの?うちの高校は、何かしらの部活に所属しなきゃいけない決まりでしょ?」「そうだな~。ひとつだけ、どうしても入りたい部活があるんだよ」保健室の…
俺は、女子にキャーキャー言われているユウト2号を眺めながら言う。「まぁ、これはこれでいいのかも…ユウト2号が俺の代わりに体育出たり、学校行ったり、授業受けたりテスト受けたりしてくれたら、俺自身は何もしなくても得するワケなんだろ?」「ユウトくん…
「きゃーっ!ユウトくん、かっこいい!」「こんなにも運動神経が良かったなんて意外過ぎぃ!」「目が死んでなくて、イキイキした目をしてるユウトくんって、こんなにイケメンだったんだぁ~!」「アタシ、ユウトくんのファンになりそうー!」校庭でサッカー…
俺はヒロコ先生に向かって叫ぶ!「ふざけんなよ!こんな、俺の姿をしたテンション高いヤツが、クラスの奴らと一緒に体育なんかしてみろ!絶対に面倒なことになるぞ!」「だ、大丈夫よぅ、きっとユウトくんは人気者になれるわよ~」「なんでだよ!このご時世…
ヒロコ先生は、口元に笑みを浮かべながら俺を凝視する。「ところで、ユウトくん…」「え、なんで俺の名前しってんの。アンタに名乗った覚えは無いんですけど」「わざわざ都会から会津に引っ越してきた物好きなんて、もう教師は全員知ってるわよ~」「いや、だ…