会津部の時間ですよ!

会津に夢も希望も抱いていない主人公が、会津を楽しむための部活に強制入部させられる物語。(※この物語はフィクションです。たぶん)

≪第9回≫うつし世は夢

俺は、女子にキャーキャー言われているユウト2号を眺めながら言う。

「まぁ、これはこれでいいのかも…

ユウト2号が俺の代わりに体育出たり、学校行ったり、授業受けたりテスト受けたりしてくれたら、俺自身は何もしなくても得するワケなんだろ?」

「ユウトくん…全てのことを他人にやらせる気マンマンね」

そう言うヒロコ先生に、俺はうなずく。

「人生のほとんどのことは、ただ単に他人にやらされてることだろ。
だから、めんどくさくてやってらんねーの。

ああやって、ユウト2号みたいに、自分の代わりに『やらされてること』をやってくれる奴が出てくるのを、もしかしたら俺は待ってたのかも…」

「あ、でもね、ユウト2号…もとい、宇宙からきたコピーアンドロイドには弱点があってね」

「弱点…?」

「そう。あまり充電してなかったから、そろそろ、かしら…」

ヒロコ先生はそう言うと、校庭のユウト2号に視線を移す。

すると、先ほどまで体育のサッカーで一番活躍していたユウト2号は、突然その場にしゃがみ込む。

「あれ?どうしたユウト?」

そう言う体育教師に向かって、ユウト2号は一言。

『だりぃ…めんどくせぇ…』

そう呟き、校庭の隅にノロノロと歩いていき、ゴロンと横になった。

『はぁ……体育とか、マジでやってらんねーの』

その瞬間、教師とクラスメイトたちは口々に呟く。

「あ、いつものユウトになった………」

俺はその様子を見ながら

「あれ?ユウト2号がやる気ない奴になったぞ」

ヒロコ先生は、人差し指を立てる。

「説明しましょう!

ユウト2号、もとい宇宙のコピーアンドロイドは、バッテリーが少なくなると、自動的に『少エネモード』に入るってワケなの!」

少エネモードって、スマホじゃねぇんだから。

「つまり!」

「…つまり?」

すると、ヒロコ先生はため息をつく。

「…ユウトくん自身は、普段から『少エネモード』で生きてるってわけね。」

「やかましいわ!!!!」