俺は、女子にキャーキャー言われているユウト2号を眺めながら言う。
「まぁ、これはこれでいいのかも…
ユウト2号が俺の代わりに体育出たり、学校行ったり、授業受けたりテスト受けたりしてくれたら、俺自身は何もしなくても得するワケなんだろ?」
「ユウトくん…全てのことを他人にやらせる気マンマンね」
そう言うヒロコ先生に、俺はうなずく。
「人生のほとんどのことは、ただ単に他人にやらされてることだろ。
だから、めんどくさくてやってらんねーの。
ああやって、ユウト2号みたいに、自分の代わりに『やらされてること』をやってくれる奴が出てくるのを、もしかしたら俺は待ってたのかも…」
「あ、でもね、ユウト2号…もとい、宇宙からきたコピーアンドロイドには弱点があってね」
「弱点…?」
「そう。あまり充電してなかったから、そろそろ、かしら…」
ヒロコ先生はそう言うと、校庭のユウト2号に視線を移す。
すると、先ほどまで体育のサッカーで一番活躍していたユウト2号は、突然その場にしゃがみ込む。
「あれ?どうしたユウト?」
そう言う体育教師に向かって、ユウト2号は一言。
『だりぃ…めんどくせぇ…』
そう呟き、校庭の隅にノロノロと歩いていき、ゴロンと横になった。
『はぁ……体育とか、マジでやってらんねーの』
その瞬間、教師とクラスメイトたちは口々に呟く。
「あ、いつものユウトになった………」
俺はその様子を見ながら
「あれ?ユウト2号がやる気ない奴になったぞ」
ヒロコ先生は、人差し指を立てる。
「説明しましょう!
ユウト2号、もとい宇宙のコピーアンドロイドは、バッテリーが少なくなると、自動的に『少エネモード』に入るってワケなの!」
少エネモードって、スマホじゃねぇんだから。
「つまり!」
「…つまり?」
すると、ヒロコ先生はため息をつく。
「…ユウトくん自身は、普段から『少エネモード』で生きてるってわけね。」
「やかましいわ!!!!」