会津部の時間ですよ!

会津に夢も希望も抱いていない主人公が、会津を楽しむための部活に強制入部させられる物語。(※この物語はフィクションです。たぶん)

≪第8回≫モテる男

「きゃーっ!ユウトくん、かっこいい!」

「こんなにも運動神経が良かったなんて意外過ぎぃ!」

「目が死んでなくて、イキイキした目をしてるユウトくんって、こんなにイケメンだったんだぁ~!」

「アタシ、ユウトくんのファンになりそうー!」

校庭でサッカーをしつつ、華麗に舞うユウト2号は
意外にも人気が出た。

サッカーボールを足で操りながら、蝶のように舞い、蜂のように刺す。

保健室から女子たちの黄色い声を聞きつつ、俺は顔を覆う。

「もうやだ…。色んな意味で自分が否定されまくってる…」

「ユウト2号、最高じゃない。
女子にも男子にも人気が出てるわよ~」

ヒロコ先生は、人の気も知らずにのんきに体育を鑑賞している。

「恥ずかしすぎ…もう学校行けねぇ」

まさか、体育をサボった結果にこんな仕打ちを受けるとは思わなかった。

校庭からは、活発なクラスメイトたちとユウト2号の声が響いてくる。

「ユウト、パス!」

『任せろ!シュートだ!』

「ユウトくん、かっこいいー!」

「女子ー、うるせぇぞー!
でも、今日のユウトはマジで最高だぜー!」

俺にできることは何も無く、ただ校庭を眺めているだけだ。

その時、女子の1人にサッカーボールが飛んで行った。

「きゃあっ!」

恐怖で、反射的に目を瞑る女子。

『危ないっ!』

ユウト2号は素早く前に出て、サッカーボールを胸で受け止めた。

宙に飛び、そして落下してきたボールを、ユウト2号は器用に数回リフティングしてみせる。

そして『ヘイ、パス!』と言いながら男子にボールを蹴って見せた。

ユウト2号に守られた女子は、ユウトの背中を眺めながら、目がハートマークになっていた。

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画像提供:いらすとや