「ざけんなよ、マジで冗談じゃねぇ…!」
俺はこの部屋を出ようと、出口へ向かった。
その瞬間。
「あれ~?新入部員~?」
タイミング悪く、そこから更に1人の女生徒が現れた。
小柄で細身の、おっとりした女子だ。
その女子は、巨大なメロンパンをモサモサと頬張っている。
その女子の後ろから、同じほどの背丈のメイドが顔を出した。
メイドは俺の顔をまじまじと見ながら
「新入部員なのですか?それにしては、ものすごく嫌そうな顔をしてますよ?」
ていうか、なんでメイドが学校に居るんだよ!?
そう思いながらメイドをガン見していると、メイドは俺にペコリと頭を下げた。
「なぜ学校にメイドがいるのか、と言いたげですね。
私は、『タベコ』様のメイドなのです…。
あ、タベコ様というのは、今ここで巨大なメロンパンを召し上がっている、このお方のお名前でして…。
タベコ様は、ご家庭がお金持ちなので、私がこうしてご家庭でも学校でも、身の回りのお世話をさせてもらってるのですよ」
するとタベコなる女は、俺に向かって片手を挙げる。
「私、食べるのが大好きなタベコだよ。
よろしくね~。ユウトくん」
コイツ…何故、俺の名を…。
すると、列車の時刻表が大好きな、イケメン男装女子が俺に向かって言う。
「ボクは『レツ』だよ。よろしくね、ユウトくん。
ちなみにボクは『この部活』の副部長だよ。
ちなみに、自分で言うのもなんだけど、ボクは鉄道マニアなのさ…ふふっ」
続いて、ゴスロリ女までもが
「私は『ミコ』っていうの…。
家が神社でね。巫女をやっているわ」
名前がそのまんまじゃねぇか!
そして、ユカまでもが俺に向かって言う。
「改めて、自己紹介しよう。
私『ユカ』は…。
この部活…
すなわち『会津部』の部長なのだ!
というわけで、よろしくな!ユウトくん!」
俺は大きく息を吸い込み、そして大声で言う!
「はい、よろしくじゃありませーん!
俺は部活になんか入りませーん!
帰りまーす!それではサヨウナラ~」
そう言って、ここから出ようとした
その瞬間…!
「ぐっ!くるし…
心臓が…ぐるじい…」
俺は胸を押さえてうずくまる。
ミコは、俺を見おろしながら言う。
「あらかじめ、アンタの姿を真似た人形を作っておいたわ。
この部活に、アンタを入れるためにね。
この人形は、アンタそのもの。
この部活から逃げようとすれば、この人形に私の神通力が作用して、アンタの心臓が締め付けられるという呪いをかけておいたの。
どう?この人形…アンタに似せてありながら、なかなか可愛いと思わない…?」
ミコはそう言いながら、俺に人形を見せつけてくる。
…。
いや、ぜんぜん可愛くねぇよ!
つーか、全然、俺に似てねぇええ!