会津部の時間ですよ!

会津に夢も希望も抱いていない主人公が、会津を楽しむための部活に強制入部させられる物語。(※この物語はフィクションです。たぶん)

≪第18回≫人生に逃げ場など無い

「ざけんなよ、マジで冗談じゃねぇ…!」

俺はこの部屋を出ようと、出口へ向かった。

その瞬間。

「あれ~?新入部員~?」

タイミング悪く、そこから更に1人の女生徒が現れた。

小柄で細身の、おっとりした女子だ。

その女子は、巨大なメロンパンをモサモサと頬張っている。

その女子の後ろから、同じほどの背丈のメイドが顔を出した。

メイドは俺の顔をまじまじと見ながら

「新入部員なのですか?それにしては、ものすごく嫌そうな顔をしてますよ?」

ていうか、なんでメイドが学校に居るんだよ!?

そう思いながらメイドをガン見していると、メイドは俺にペコリと頭を下げた。

「なぜ学校にメイドがいるのか、と言いたげですね。
私は、『タベコ』様のメイドなのです…。

あ、タベコ様というのは、今ここで巨大なメロンパンを召し上がっている、このお方のお名前でして…。

タベコ様は、ご家庭がお金持ちなので、私がこうしてご家庭でも学校でも、身の回りのお世話をさせてもらってるのですよ」

するとタベコなる女は、俺に向かって片手を挙げる。

「私、食べるのが大好きなタベコだよ。
よろしくね~。ユウトくん」

コイツ…何故、俺の名を…。

すると、列車の時刻表が大好きな、イケメン男装女子が俺に向かって言う。

「ボクは『レツ』だよ。よろしくね、ユウトくん。
ちなみにボクは『この部活』の副部長だよ。

ちなみに、自分で言うのもなんだけど、ボクは鉄道マニアなのさ…ふふっ」

続いて、ゴスロリ女までもが

「私は『ミコ』っていうの…。
家が神社でね。巫女をやっているわ」

名前がそのまんまじゃねぇか!

そして、ユカまでもが俺に向かって言う。

「改めて、自己紹介しよう。

私『ユカ』は…。

この部活…

すなわち『会津部』の部長なのだ!
というわけで、よろしくな!ユウトくん!」

俺は大きく息を吸い込み、そして大声で言う!

「はい、よろしくじゃありませーん!

俺は部活になんか入りませーん!

帰りまーす!それではサヨウナラ~」

そう言って、ここから出ようとした

その瞬間…!

「ぐっ!くるし…
心臓が…ぐるじい…」

俺は胸を押さえてうずくまる。

ミコは、俺を見おろしながら言う。

「あらかじめ、アンタの姿を真似た人形を作っておいたわ。

この部活に、アンタを入れるためにね。

この人形は、アンタそのもの。

この部活から逃げようとすれば、この人形に私の神通力が作用して、アンタの心臓が締め付けられるという呪いをかけておいたの。

どう?この人形…アンタに似せてありながら、なかなか可愛いと思わない…?」

ミコはそう言いながら、俺に人形を見せつけてくる。

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…。

いや、ぜんぜん可愛くねぇよ!
つーか、全然、俺に似てねぇええ!