会津部に入部しないと心臓が締め付けられるという呪いをかけられた俺を見て、ヒロコ先生は言う。
「ユウトくん。貴方は、この部活に必要な人間なのよ。お願い。どうかこの部活の部員になって…」
「だから、なんで俺なんだよ!?」
そう絶叫する俺に、ミコは一言。
「アンタが入部すれば、人数が揃うのよ。そしたら、改めて会津部は部活動を正式に始められるってワケ」
「ただの人数合わせかよ!だったら他の奴を入れろよ!」
すると、部長であるユカは
「ユウトくんでなければ駄目なんだ…人数合わせなんかじゃない…」
「だから、なんで俺なんだよ!
何度も同じことを問わせるなよ!」
すると、ヒロコ先生は
「それは、これから分かっていくと思うわ。
全てはね、宇宙の意志なのよ。
宇宙のエネルギーが、ユウトくんをこの部活へと導いたというわけなのよ」
意味わかんねぇえええっ!
「あ、ちなみに、この私。
保健室の先生であるヒロコ先生が、この会津部の顧問よ。
よろしくね~」
「なんで保健室の先生が部活の顧問やってんだよ!」
「全ては、この会津部を作るため。
私はその決意のもと、校長に色じがけ…いや、真剣に懇願して、この部活を作ったのよ~」
「そもそも、なんだよ会津部って!?
女のサムライ、鉄道マニア、巫女、常に食ってる女、そのメイド…
そんなヤツらを集めて何しようってんだよ!」
すると、ユカが腕組みをして言う。
「全ては、会津の為だ!」
「会津の為?なんだよそれ」
「会津部とは、歴史、神社仏閣、鉄道、グルメなど、様々な魅力がある。
それらを再発見するのが、この部活のメイン活動なんだ」
そんなもん知らねぇし」
すると、ユカは俺を見据える。
「私は…ユウトくんが知っての通り、元々はいじめられっ子だった。
しかし、この会津の歴史に触れた時に、強くあらねばと決心することができた。
そして私は、こうして強くなることができた…」
イケメン男装女子で、なおかつ鉄道マニアであるレツも
「ボクは、会津の鉄道はとても魅力的だと思う。
他の地域にはない、深いものを日々感じているんだ」
ゴスロリ巫女であるミコは
「私は、会津の神社と仏閣が大好きなの。
古くから人々の信仰と共にあったそれらに触れると、とても心が清んでいくの」
人に呪いをかける奴が何を言ってんだよ。
タベコも、メイドから手渡された巨大なおにぎりを頬張りながら
「会津はね、美味しい食べ物がイッパイあるんだよぉ~
まず、水と米が美味しい。これまさに最強なんだよぉ~」
ああもう…
俺はため息をつきながら言う。
「で?会津部ってのは、結局なにをする部活なんだよ」
ヒロコ先生は、メガネをクイッと上げる。
「よくぞ聞いてくれたわね!
会津部は、基本、平日は自由!
この部室で、各自好きなことをやってればいいの!
『会津の魅力を研究する』という名目で、まぁ自由にしてればいいのよ」
ゆるいなオイ!
「本格的な活動は、主に休日に行われるわ。
どんな活動かは、その時になってのお楽しみぃ~」
…休日が潰れた…
俺は心底、絶望するしかなかった。