会津部の時間ですよ!

会津に夢も希望も抱いていない主人公が、会津を楽しむための部活に強制入部させられる物語。(※この物語はフィクションです。たぶん)

≪第13回≫とりあえず日本刀

殴られる。でもって、大人数の不良たちにフルボッコにされる。

もう駄目なのかなー。
ま、いいや。別にもともと、手放したくないモノなんか無いし。

フルボッコにされたらそれを理由に、ハートブレイクしたフリして学校をサボりまくってやろう。

「死ねや転校生コルァアアアア!!!」

不良が振り降ろした拳が
俺の顔面に迫る。

あー、当たる。

そう思った、その時。

ドガッ!

何者かが横から飛び出し
不良の脇腹に飛び蹴りをくらわせた。

「ぎゃわん!」

犬のような悲鳴をあげて、目の前の不良が倒れた。

「1人の転校生を、大人数で囲むとはな。
恥を知れよ、お前ら」

そう言いながら不良達の目の前に立ちはだかったそいつは、この高校の制服を着た女子だった。

サラサラの長い黒髪、細身の体型、スカートからスラリとのびた脚。

その横顔は、かなりの美人だった。

ただ、ひとつ気になるのは。
腰に日本刀を下げているということ。

なんで?

廃刀令が出てから
何年経ったと思ってんの?

不良たちは、その女子を見るなり動揺し始めた。

「ヤベェ…『アイツ』が来た…」

「女子でありながら、この学校で…いや、この地域で、最強と噂の『アイツ』が…」

「あ…『アイツ』って、確か…
誰も近寄らない『あの部活』の部長…!

部長にして、最強の剣の使い手…!!!
腰にさした、あの刀がその証だ…!!」

いや、だから、廃刀令から何年経ったと思ってんだよ。

なんでそいつがポン刀をぶら下げてること自体を突っ込まないんだよ。

ていうか、部活ってなに?
剣道部か何か?

でも、剣道部だったら竹刀だよな。
日本刀なんか身に付けたりしない。

するとその女子は、不良たちを睨み付けながら言う。

「どうした。怖じ気づいたか?
そのまま引き下がるなら、許してやらんでもないぞ?

それとも、群れながらでも私に立ち向かってみるか?」

そして、ニヤリと笑みを浮かべるのだった。