会津部の時間ですよ!

会津に夢も希望も抱いていない主人公が、会津を楽しむための部活に強制入部させられる物語。(※この物語はフィクションです。たぶん)

≪第14回≫そして、少年マンガ的な展開に

不敵に笑みを浮かべるその女子は、顔が綺麗なだけに、より一層のサディスティック感を醸し出す。

不良たちは、口々に

「ど、どうする…?
今日こそ、あの女を八つ裂きに!

…できたらいいのになぁ~」

「あの女のせいで、俺らはいつも堂々と悪さできねーんだよ!あの正義感オンナ!」

「そうだよな!今日という今日は、全員であの女にヤキ入れてやろうぜ!」

「そうだ!全員でかかれば、きっとやれる!できる!自分たちのチカラを信じるんだよ!」

「そうだ!俺たちの『絆』のパワーで!」

などとほざいている。

不良が絆だのなんだの言い出すのってどうなの?

悪い道に走りたいのか、道徳的な道に進みたいのか、マジでどっちなの?

すると、不良のひとりが
女子に向かって歩みだした。

「テメー…今日という今日は、俺らの邪魔はさせねぇからな!
大人しく、その転校生を差し出せば痛い目に遭わなくて済むぜ?」

そう言いながら、女子の胸ぐらを掴もうとするとした瞬間。

「あひゃあっ!?」

ダンッ!

不良が女子の前で、空中一回転して地面に叩きつけられた。

女子は、地に落ちた不良を見下ろす。

「どうした?私を痛い目に遭わせるのではなかったのか?」

「テメー、俺に何しやがった!」

「説明するとだな、お前が私の胸ぐらを掴もうとした『チカラ』を利用して、お前を地面に叩きつけた、それだけだ」

「いや、意味わかんねーし!」

その時、別の不良が

「これ以上、お前の好きにさせてたまるかぁあああああ!」

と叫びつつ、女子に向かって鉄パイプを振り下ろす!

「ちょ、危な…」

さすがに俺がそう言いかけた、その時。

女子は腰の日本刀を抜くと同時に
自分に向かってきた鉄パイプを

キィン!

と音を立てつつ
真っ二つに斬った。

半分になった鉄パイプの、落下する音が周辺に響く。

「テメー、その刀、やっぱり本物なのかよ!?」

不良の言葉に対して、女子は一言。

「安心しろ。Am●zonで購入した模造刀だ」

鉄パイプが斬れる模造刀って、もう充分に殺傷力があるよね。
何をどう安心しろというの?

女子は、日本刀(模造刀)を不良たちに向けて言う。

「さぁ、やる気なら、お前たち全員でかかってこい」

「望むところだぁああああっ!!」

…五分後。

不良たち全員が、女子の手によって気絶した中で。

その女子ただひとりが。

無傷のまま、息を切らすこともなく
静かに佇んでいた。

女子が振り返り、余裕の笑みを浮かべて俺を見る。

「大丈夫か?災難だったな。
怪我とかしてないか?」

「まぁ…大丈夫だけど」

俺がそう言うと、女子は笑いながら言う。

「そのマイペースさ、昔と全然変わらないな、ユウトくんは…」

「は?

なんで俺の名前を知ってんの?

田舎の高校では、転校生の名前は全校生徒に一気に覚えられちゃうわけ?」

「そんなんじゃない。
昔、私とよく一緒にいただろう?」

「いや、それはない。
俺はお前なんか知らない。

そんな、腰に刀ぶら下げてるようなバイオレンス女なんか」

「覚えてないのか?
私は、お前をよく覚えてる。

私の名前は…

『ユカ』だよ」

ん?昔、よく一緒にいた『ユカ』という名前の女?

…。

俺は、女に向かって一言。

「マジか。」

女は一言。

「マジだ。」

マジかよー。