とある日。1日が終わったので、俺は帰宅するために学校を出る。もちろん部活などする気は無い。
校門を出ようとした時に、見知らぬ生徒が立ちはだかった。
その男は、俺を威嚇するような態度と声で
「お前が、最近この高校に転校してきた奴だな?」
「…そうだけど…」
「ちょっとツラ貸せや」
「……」
「どうしたよ、さっさと付いて来い」
「分かったよ……………はぁ…」
「ため息ついてんじゃねーよ!素直な気持ちで、真っ直ぐに俺について来いっての!」
「はいはい。」
俺はそいつの後に付いていく。そいつの目を盗んで、俺は足元に落ちていた『とある物』をそっと拾ってポケットに入れた。
たどり着いた場所は、ものすごくベタな場所。
『体育館の裏』だった。
体育館の裏に呼び出された奴は、女子に告白されるか、もしくは不良にシバかれると相場が決まっている。
恐らく俺は『後者』のほうだろう。
俺を呼び出したそいつは、俺を睨み付けながら言う。
「テメェ、転校してきたくせに俺らに何の挨拶も無ぇとはいい度胸してんじゃねーか…ああ?」
「挨拶も何も、俺はお前なんか知らねーし。
『俺ら』?他にも誰か居んのかよ。
どっちにしろ、どうだっていいんだよ。
俺は基本的に…」
「基本的に、なんだよ?」
そんなやり取りをしているうちに、こいつの仲間らしき奴らがワラワラと出てきた。
呼び出した場所がベタなら、呼び出した奴らもベタだ。
群れる不良。
ていうか、いまだにいるんだな、こういう人種…。
しかし俺は、構わずに続ける。
「他人に興味が無いんだよ。
お前みたいな、つまんねー奴は特にどうでもいい」
「んだと、コラァあああ!!!」
そいつが発言した『ああああ!!!』のタイミングを見計らい、俺はさきほどポケットに忍ばせておいた『それ』を、そいつの口に押し込んだ。
「モガっ…!?」
「初めてだろ『石』なんか食うのは!!!」
俺はそう言うと同時に
そいつの髪を思い切り掴んで引き寄せ
ゴガッ…!!!
顎に思い切り膝蹴りを喰らわせた。
今の砕けた音は、石か、それともこいつの歯か。
目の前で自分の口を押さえつけながら転げ回るそいつを見て、俺は無意識に口元に笑みを浮かべていた。