会津部の時間ですよ!

会津に夢も希望も抱いていない主人公が、会津を楽しむための部活に強制入部させられる物語。(※この物語はフィクションです。たぶん)

≪第17回≫癖の強い奴ら。

「う…」

気付くと、俺は畳の部屋に転がっていた。

まだ頭がズキズキする。ユウト2号のヤツ、マジでぶっ破壊してやろうか。

すると、頭上から聞き覚えのある声が響いてきた。

「うふふ…ユウトくん、ついに来たわね~
『この場所』に…」

「!?」

俺は反射的に起き上がる。

目の前にいたのは、保健室のエロ系先生こと

ヒロコ先生。

俺はヒロコ先生を睨み付ける。

「おいヒロコ先生。
ユウト2号を使ってよくも俺を…!」

ヒロコ先生は、不敵に笑みを浮かべる。

「んふふ…アナタには、どうしてもここに来て欲しかったから…

ついつい、手荒な方法を使っちゃったわ。
ごめんね~~~」

「てめぇ、何のためにこんなことしやがった!
答えによっては…」

俺がそう言いながらヒロコ先生の胸ぐらを掴もうとすると…

「ユウトくん、辞めろ」

ユカが、とっさに俺の腕を掴む。

俺はユカの手を振り払いながら

「お前ら、一体俺に何の用なんだよ!
俺なんかに用は無いはずだろ!」

そう言いながら周囲を見渡すと、ヒロコ先生とユカの他に、もう二人の人間が居た。

(コイツらは…)

確か、俺と同じクラスの…

一人は、列車の時刻表を読みふけっていたイケメン。

もう一人は、気持ち悪い人形に笑いながら話しかけていたゴスロリ女。

ゴスロリ女は、黒髪のツインテールを揺らしながら、その小柄な体型に似合わない威圧感で俺を睨む。

「ちょっとアンタ…さっきから何なの?その態度は。

転校生だか何だか知らないけど、あんまり調子に乗ってると呪い殺すわよ…」

すると、今もなお時刻表を開いていたイケメンが言う。

「おいおい、あんまり転校生に怖がらせること言うなよ。
この転校生には、ボクたちの部活に入部してもらうんだからね」

ん?このイケメン、声が女じゃねえか。

まさか、いま流行りの『男装女子』ってやつか?

ていうか、今…コイツ…

俺が、部活に、入る?とか?言った…!?

≪第16回≫主人公の危機、再び。

まぁ、人間、成長するにつれて変わる人間ぐらいいるだろう。

別に珍しいことじゃないしな。

俺は、ユカに一言。

「助けてくれて、あんがとー。
じゃあ俺、帰る~」

するとユカは

「ま、待ってくれないか?

ユウトくんを助けたこと、恩に着せるわけではないのだけれど…

ちょっと一緒に、来て欲しい所があるんだ…」

そう言うユカに、俺は

「やだ。帰る」

「えっ!いや、ちょっとだけでいいから!」

「やだ。帰る」

「頼むから!」

「やだ。帰る」

「なんでだよ!そこは一緒に来てくれないと話が進まないだろ!?」

「話って!?なんの話!?
とにかく俺は早く帰りたいの!

学校が嫌いなの!

一刻も早く、この学校の敷地内から脱出したいの!」

「どんだけ学校嫌いなんだよ!?
ていうか、今の時間は部活とかやってる時間だろう!」

「部活なんてやりたくないの!
俺は帰宅部なの!!」

そう吐き捨てて足早に帰ろうとした

その瞬間。

「仕方ない。頼む。ユウト2号」

ユカがそう呟いた、その瞬間。

俺と全く同じ姿をしたアンドロイドである『ユウト2号』が、どこからか姿を現した!

そして、俺と同じ声の電子音で叫ぶ!

『ユウトくん、ごっめぇ~ん!』

ゴスッ!

「ぐはっ!」

ユウト2号は、俺の頭を鈍器のようなモノで殴る!

薄れゆく意識のなか、俺はユウト2号の手によって、大きな麻袋に入れられ…

そして、拉致されたのだった。

≪第15回≫過去の記憶

俺は、高校生になった、変わり果てたユカを目の前にして

思い出したくもない、過去の記憶を甦らせる。


…。






「うわぁああん!
ユウトくん、私また学校でいじめられたよ~!」

小学生時代、近所に住む同い年の『ユカ』は、ほぼ毎日、俺の家に転がり込んで来ては泣きじゃくっていた。

「なに?なんなの?毎日毎日。
泣き言を聞かされる俺の身にもなってよ。
俺は、早く本の続きを読みたいんだけど」

「ユウトくん、冷たすぎるよ~!
そんなんだから、クラスで友達もできないんだよ~!」

「いじめられてるお前にだけは。
お前にだけは、マジで言われたくない。

ていうか、友達を作るための友達だったら必要ない。
そんな暇あったら読書してたい」

「ユウトく~ん!私、ユウトくんみたいに強くなれたらいいのに~!
毎日毎日、学校でいじめられるの、もう嫌だよ~!」

ユカは俺に抱きついて、さらに泣きじゃくる。

俺の服は一瞬にして、ユカの涙と鼻水と、他にもなんだかよく分からない液体やら分泌物やらでビショビショのグショグショになる。

コイツは俺の服をティッシュペーパーか何かと勘違いしているのだろうか。

「ユウトくん、グスッ…私なんて、こんな人生なんて、もう嫌だよ…

私は…ヒック、ヒック…」

「どうした?小学生のぶんざいで酔っぱらってんのか?」

「酔っぱらいの『ヒック』じゃないよぉ~!
泣いてるときの『ヒック』だよぉ~!

ユウトくん、私はどうしていじめられるの?
私、なにも悪いことしてないのに…どうして…
グスッ」

「そうだな~…」

俺はユカを見下ろす。

「まず、そうやって毎日毎日同じ悩みで泣きついてくるところに学習能力の無さを感じる。嫌なことがあったら泣いてストレス解消すればいいという思考力の無さにもイライラする。あと、泣いてる顔が不細工だし、ぜんぜん勉強できないみたいだし、宿題忘れてばっかりだし、スポーツもナメクジ並みに不得意だし、靴下が左右で柄が違うし、髪の毛の結び方も左右でバランスがずれまくりだし、願い事があれば努力しないで神頼みすればいいと思ってるのも不気味だし、鼻くそほじったら美味しそうなご馳走を見つけたみたいな目で見つめるのもキモいし、まず鼻くそとかほじるなよ。あと、それから…」

「悲しんでる女の子に、なぐさめの言葉をかけない上に、さらに心の傷あとをえぐるようなことを言うなんてひどいよ~!

うわ~ん!私、そんなに悪いところばっかりだから、毎日いじめられるってことをユウトくん言いたいんだぁ~!」

「違う。その逆だし」

「えっ…?」

「欠点のある『だけ』の人間がいじめられるんなら、世の中の全ての人間がいじめられてるんじゃないのか?

お前がいじめられる理由は、たぶん…」

「た、たぶん…?」

「お前自身が、お前のことを否定してるからだ。
お前の中に眠る『良いところ』を見つけてやらないで、いじめられることに身をまかせて、自分を守ってやらなきゃいけない、って感覚が無いからじゃないのか?」

「………」




…。


そう、なんか、妙な上から目線で説教したりもしてたな。

久々に会ったユカは、いじめられっこだった面影が全くない。

むしろ、余裕で大人数相手に余裕で勝てるようになってしまった。

時間の流れとは、ここまで人を変えるのか…。

≪第14回≫そして、少年マンガ的な展開に

不敵に笑みを浮かべるその女子は、顔が綺麗なだけに、より一層のサディスティック感を醸し出す。

不良たちは、口々に

「ど、どうする…?
今日こそ、あの女を八つ裂きに!

…できたらいいのになぁ~」

「あの女のせいで、俺らはいつも堂々と悪さできねーんだよ!あの正義感オンナ!」

「そうだよな!今日という今日は、全員であの女にヤキ入れてやろうぜ!」

「そうだ!全員でかかれば、きっとやれる!できる!自分たちのチカラを信じるんだよ!」

「そうだ!俺たちの『絆』のパワーで!」

などとほざいている。

不良が絆だのなんだの言い出すのってどうなの?

悪い道に走りたいのか、道徳的な道に進みたいのか、マジでどっちなの?

すると、不良のひとりが
女子に向かって歩みだした。

「テメー…今日という今日は、俺らの邪魔はさせねぇからな!
大人しく、その転校生を差し出せば痛い目に遭わなくて済むぜ?」

そう言いながら、女子の胸ぐらを掴もうとするとした瞬間。

「あひゃあっ!?」

ダンッ!

不良が女子の前で、空中一回転して地面に叩きつけられた。

女子は、地に落ちた不良を見下ろす。

「どうした?私を痛い目に遭わせるのではなかったのか?」

「テメー、俺に何しやがった!」

「説明するとだな、お前が私の胸ぐらを掴もうとした『チカラ』を利用して、お前を地面に叩きつけた、それだけだ」

「いや、意味わかんねーし!」

その時、別の不良が

「これ以上、お前の好きにさせてたまるかぁあああああ!」

と叫びつつ、女子に向かって鉄パイプを振り下ろす!

「ちょ、危な…」

さすがに俺がそう言いかけた、その時。

女子は腰の日本刀を抜くと同時に
自分に向かってきた鉄パイプを

キィン!

と音を立てつつ
真っ二つに斬った。

半分になった鉄パイプの、落下する音が周辺に響く。

「テメー、その刀、やっぱり本物なのかよ!?」

不良の言葉に対して、女子は一言。

「安心しろ。Am●zonで購入した模造刀だ」

鉄パイプが斬れる模造刀って、もう充分に殺傷力があるよね。
何をどう安心しろというの?

女子は、日本刀(模造刀)を不良たちに向けて言う。

「さぁ、やる気なら、お前たち全員でかかってこい」

「望むところだぁああああっ!!」

…五分後。

不良たち全員が、女子の手によって気絶した中で。

その女子ただひとりが。

無傷のまま、息を切らすこともなく
静かに佇んでいた。

女子が振り返り、余裕の笑みを浮かべて俺を見る。

「大丈夫か?災難だったな。
怪我とかしてないか?」

「まぁ…大丈夫だけど」

俺がそう言うと、女子は笑いながら言う。

「そのマイペースさ、昔と全然変わらないな、ユウトくんは…」

「は?

なんで俺の名前を知ってんの?

田舎の高校では、転校生の名前は全校生徒に一気に覚えられちゃうわけ?」

「そんなんじゃない。
昔、私とよく一緒にいただろう?」

「いや、それはない。
俺はお前なんか知らない。

そんな、腰に刀ぶら下げてるようなバイオレンス女なんか」

「覚えてないのか?
私は、お前をよく覚えてる。

私の名前は…

『ユカ』だよ」

ん?昔、よく一緒にいた『ユカ』という名前の女?

…。

俺は、女に向かって一言。

「マジか。」

女は一言。

「マジだ。」

マジかよー。

≪第13回≫とりあえず日本刀

殴られる。でもって、大人数の不良たちにフルボッコにされる。

もう駄目なのかなー。
ま、いいや。別にもともと、手放したくないモノなんか無いし。

フルボッコにされたらそれを理由に、ハートブレイクしたフリして学校をサボりまくってやろう。

「死ねや転校生コルァアアアア!!!」

不良が振り降ろした拳が
俺の顔面に迫る。

あー、当たる。

そう思った、その時。

ドガッ!

何者かが横から飛び出し
不良の脇腹に飛び蹴りをくらわせた。

「ぎゃわん!」

犬のような悲鳴をあげて、目の前の不良が倒れた。

「1人の転校生を、大人数で囲むとはな。
恥を知れよ、お前ら」

そう言いながら不良達の目の前に立ちはだかったそいつは、この高校の制服を着た女子だった。

サラサラの長い黒髪、細身の体型、スカートからスラリとのびた脚。

その横顔は、かなりの美人だった。

ただ、ひとつ気になるのは。
腰に日本刀を下げているということ。

なんで?

廃刀令が出てから
何年経ったと思ってんの?

不良たちは、その女子を見るなり動揺し始めた。

「ヤベェ…『アイツ』が来た…」

「女子でありながら、この学校で…いや、この地域で、最強と噂の『アイツ』が…」

「あ…『アイツ』って、確か…
誰も近寄らない『あの部活』の部長…!

部長にして、最強の剣の使い手…!!!
腰にさした、あの刀がその証だ…!!」

いや、だから、廃刀令から何年経ったと思ってんだよ。

なんでそいつがポン刀をぶら下げてること自体を突っ込まないんだよ。

ていうか、部活ってなに?
剣道部か何か?

でも、剣道部だったら竹刀だよな。
日本刀なんか身に付けたりしない。

するとその女子は、不良たちを睨み付けながら言う。

「どうした。怖じ気づいたか?
そのまま引き下がるなら、許してやらんでもないぞ?

それとも、群れながらでも私に立ち向かってみるか?」

そして、ニヤリと笑みを浮かべるのだった。

≪第12回≫男たちの友情

俺の手によって口に石を突っ込まれ、顎に膝蹴りを受けて倒れたそいつに向かって、不良たちは全力で駆け寄る。

「斎藤ぉおおー!!大丈夫か!しっかりしろ!」

「斎藤!目を覚ませ!頼むから!」

「ちくしょう…!斎藤の目、瞳孔が開いてるぞ!もう駄目なのか!?」

どうやら、そいつは斎藤というらしい。
どうでもいいけど。

不良たちは斎藤を抱き抱え、涙を流しながら口々に叫ぶ。

「斎藤…お前はいい奴なのに!

なんで、こんな目に遭わなきゃなんないんだよぉ…!」

「ああ、斎藤は本当にいい奴だ!

俺が教科書を忘れて慌ててたら、斎藤が机をくっつけてきて、自分の教科書を一緒に見せてくれたんだ!」

不良が真面目に授業受けてんじゃねーよ。

「俺だって、斎藤に親切にしてもらったことがある!

俺が本屋でエロ本買うのを躊躇ってたら、斎藤が教えてくれたんだ!

『健全な雑誌二冊を使って、その真ん中にエロ本をサンドイッチして買うと、そんなに恥ずかしくなくなるぞ』

って!」

いまどきエロ本とか買うなよ。
ネットで見ろよ。

「俺だって!

この転校生を、集団でフルボッコしたいけど、転校生を呼び出すのを躊躇ってたら、斎藤が言ってくれたんだ!

『俺があの転校生を呼び出すから、お前らは体育館の裏で待ってろよ。大丈夫、必ず連れてくるから。

心配しないで待ってろ。な?』

って!

斎藤、お前は本当にいい奴だぁああー!」

いい奴は、そもそも転校生1人を不良だらけの体育館の裏に呼び出したりしない。

「斎藤!俺たちは、お前が大好きだぁー!」

「斎藤!斎藤ぉー!」

「斎藤斎藤斎藤斎藤斎藤斎藤ー!!!」

そんな不良たちに、俺は一言。

「なんか知らないけど、もう帰っていい?」

「帰っていいワケねーだろうがぁああああああ!
斎藤をこんな目に遭わせやがって!
絶対に許さねーぞ!」

「いや、自業自得だし。
先に絡んできたのはソイツだろ」

「だからって口に石突っ込んで砕くとか、普通にやり過ぎだろ!
サイコパスかお前は!

北●鮮の公開処刑じゃねーんだぞ!」

「うるせーなぁ。だったらどうすりゃいいんだよ」

すると、不良のひとりが俺の前に歩み寄る。

「お前が、斎藤よりも酷い目に遭ってくれりゃあ許してやるよ」

他の不良たちも、俺の周囲に歩み寄ってきた。

あ、完全に囲まれた。
ヤバイかも、これ。

そう思った瞬間、俺の脳裏に懐かしい映像が甦った。

『ユウトく~ん!
アタシ、また学校でいじめられたよぉ~!
もう嫌だよぉ!いじめられたくないよぉ~!』

遠い昔…。
学校でいじめられるたびに、俺に泣きついてきたアイツ。

「ったく、なんでこのタイミングであんなこと思い出すんだよ…」

俺がそう呟くと、目の前の不良が

「お前は、ただ黙って俺らにフルボッコにされてろやぁああああ!

喰らえや!俺の、斎藤を想う『友情パンチ』だ!!!!!!
ボケコルァアアアア!!!!!!」

そう叫びつつ、俺に向かって拳を振り降ろした。

あーもう駄目かもー。
もう武器も何も無いし、もちろん味方もいない。

仕方ない。諦めるかな。

≪第11回≫主人公、体育館裏に呼び出されるの巻。

とある日。1日が終わったので、俺は帰宅するために学校を出る。もちろん部活などする気は無い。

校門を出ようとした時に、見知らぬ生徒が立ちはだかった。

その男は、俺を威嚇するような態度と声で

「お前が、最近この高校に転校してきた奴だな?」

「…そうだけど…」

「ちょっとツラ貸せや」

「……」

「どうしたよ、さっさと付いて来い」

「分かったよ……………はぁ…」

「ため息ついてんじゃねーよ!素直な気持ちで、真っ直ぐに俺について来いっての!」

「はいはい。」

俺はそいつの後に付いていく。そいつの目を盗んで、俺は足元に落ちていた『とある物』をそっと拾ってポケットに入れた。

たどり着いた場所は、ものすごくベタな場所。

『体育館の裏』だった。

体育館の裏に呼び出された奴は、女子に告白されるか、もしくは不良にシバかれると相場が決まっている。

恐らく俺は『後者』のほうだろう。

俺を呼び出したそいつは、俺を睨み付けながら言う。

「テメェ、転校してきたくせに俺らに何の挨拶も無ぇとはいい度胸してんじゃねーか…ああ?」

「挨拶も何も、俺はお前なんか知らねーし。
『俺ら』?他にも誰か居んのかよ。

どっちにしろ、どうだっていいんだよ。
俺は基本的に…」

「基本的に、なんだよ?」

そんなやり取りをしているうちに、こいつの仲間らしき奴らがワラワラと出てきた。

呼び出した場所がベタなら、呼び出した奴らもベタだ。

群れる不良。
ていうか、いまだにいるんだな、こういう人種…。

しかし俺は、構わずに続ける。

「他人に興味が無いんだよ。
お前みたいな、つまんねー奴は特にどうでもいい」

「んだと、コラァあああ!!!」

そいつが発言した『ああああ!!!』のタイミングを見計らい、俺はさきほどポケットに忍ばせておいた『それ』を、そいつの口に押し込んだ。

「モガっ…!?」

「初めてだろ『石』なんか食うのは!!!」

俺はそう言うと同時に

そいつの髪を思い切り掴んで引き寄せ

ゴガッ…!!!

顎に思い切り膝蹴りを喰らわせた。

今の砕けた音は、石か、それともこいつの歯か。

目の前で自分の口を押さえつけながら転げ回るそいつを見て、俺は無意識に口元に笑みを浮かべていた。