「ユウトくん、休み時間は本ばっかり読んでるね。
友達作る気は無いのかな?」
そう話しかけてきたのは、明らかにモデル体型のイケメン野郎だった。
「は?何か?」
俺がそう言うと、イケメンは苦笑しながら
「なんでそんなに機嫌悪そうなんだよ。
もしかして、都会から田舎に引っ越してくるのが嫌だった?」
「そんなんじゃねーよ。都会の高校なんて人数多いだけだし、そんなに出歩かないから都会だろうが田舎だろうが同じようなもんだし」
「ふーん、機嫌悪そう、ていうか、やる気が無さそうなのは、もともとの性格なんだろうな~」
「だったら何?もっと明るくなって、クラスのやつらと一緒に友達ゴッコに勤しめとか言いたいわけ?」
「なワケないだろ。
この高校は、個性的なやつらが割りと居るからな。
ユウトくんみたいな個性も全然問題ない。
群れたければ群れればいいし、独りでいたければいればいいし。
あ、俺は、学級委員長やってる…」
学級委員長は名乗ったが、俺はその名前を秒で忘れた。
それにしても、群れることを強制されない様子だったので少し安心した。
改めて、クラスを見回すと…。
(確かに個性的なヤツがいたな、さっそく…)
俺は思わず、心中でそう呟く。
俺の視界に入ったのは、窓際で本らしきものを読んでいる、委員長とは別の、もう1人のイケメン男だ。
(えっ?あれって…)
その本をよく見てみると、ポケットサイズの時刻表だった。
教室で?なんで時刻表?マジで意味が分からない。
しかし、時刻表を読みふけるそのイケメンは、妙に満ち足りた表情をしている。
イケメンなので、時刻表を読む姿が妙に絵になっている。
もう1人、視界に入ったのは…。
黒髪ツインテールの、小柄な女子。
頭には黒いリボン、制服を着ているものの、スカートはおもいきり私服のスカート。
黒いフリフリのスカートに、黒いタイツ。
その怪しい女子は、このような不気味な人形を手に持ち…
「うふふっ…何か、何かが始まる予感がしない…?
うふふっ…」
と、独りで呟いていた。
あの女子とは、特に関わらないようにしよう。
俺はそう心中で呟いた。